脱皮の苦しみ・・・・中華人民共和国

蛇」は、脱皮に失敗すると、その命を失う・・・・一党独裁が、その一党を腐らせ、脱皮をするには、新しい人材、つまり「血」が必要・・・南からインド、北からロシアが虎視耽々・・・「脱皮」に失敗すれば、「ミミズ」になるか・・・・!
中国・高速鉄道の事故・・・余りに杜撰な事故後の処置に世論が沸騰・・・中国版ツイッターに批判が集中・・・一旦は証拠隠滅を図る為に埋葬した先頭車両を掘り起こした・・・大国中国が、世界の曝し物になった瞬間だった。この、中国版ツイッター・・・実名で書き込むと云うのだから、そのインパクトは大きなものがあるだろう。
何事も「裏表」がある。ツイッターに政府避難・批判を書き込まれたくないので、書き込みを制限する為に、実名書き込みにしたのだろうが・・・実名書き込みを恐れない様になった途端、それは政府に向けられた「凶器」に変身した・・・私は、その様に観察する。

安保闘争の最中・・・国会議事堂前に押しかけたデモ隊を見て、時の首相は、「後楽園も満杯だ・・・」と呟いたとか・・・新聞に大きく報じられた・・・遠い歴史になった。現中国政権には、それほどの度胸はないのだろう。あるいは、そんな度胸が許されない時代になったのだろうか・・・・徒手空拳の中国国民だが、案外な強みをもっているものだ・・・私の再評価なのである。

明治の、宮廷政府から、国会解説・憲法制定・政党政治・・・へと、急速な変化を危惧した「伊藤博文」は、国民の教養の必要性を強く訴えたと云う。国会解説では、盟友・大隈重信と袂を分かつ「明治14年の政変」を惹起したが、その大隈が、「早稲田」を創設。福沢の「慶応」と並んで、日本の教育界をリードした。そこで、伊藤は「東京大学」を創設して、此処に、日本の教育システムが大きな「歩み」を始めた。

中国では、被侵略国家に甘んじていた期間に、多くの教育施設が整備され、人材が生れた・・・しかし、残念なことに、孫文の様な教養人が政治をリードすることがなく、独学的教養人・毛択東的人材が、その国家の発足を推進した。決して間違っていたとは思わないが、その手法は、共産党一党独裁と云う、清朝までの、宮廷政治を継承するものであり、今日に至っている。そして、政治は、共産党エリート官僚に、そして地方は、「宦官」的、共産党官僚に支配されることになり、今日に至っているのである。

他国の侵略と闘うには、あるいは絶大な政治組織ではあっただろう。しかし、西欧列強の準備した教育機関で学んだ人々を上手に生かす政治体制には成長しなかった・・・これが、日本・韓国との大きな違いであろう。韓国も、日本の侵略が無かったら、あるいは、現中国と同じ道を歩いていたかも知れないのである。異文化に接し、吸収し、精度を導入して改ざんして「自家薬籠中」のものにする知恵・・・これが、日本人だけに与えられているのか・・・私にも分からない。しかし、日本海と云う狭い入口から入ってきた文明を温め、太平洋と云う広い世界の知識で「換骨奪胎」する、知性的な条件が与えてくれたものなのだろう。
今、中国の海軍が太平洋に出たいと・・・無理な外交に賢明である。ある意味「哀れ」でもあるのだが、その知性的障害を乗り越える知恵者がいないのも、哀れではある。

エリートを集めれば、それは、その後継者の時代に必ず「腐敗」する。毛択東の「文化大革命」も、その視点で捉えれば、理解できないでもない。しかし、教養なき「烏合の衆」と、革命的人民の区別が出来なかった毛択東の能力・・・・年齢的限界だったのだろう。その遺産に、中国は苦しんでいる。今回の高速鉄道事故と、その事後の顛末・・・その象徴であろう。
哀れではある。