平成の大本営・・・・

金子勝・慶応大学教のコラム・・・・から。

「日本社会を支配する無責任体質を一気に噴出させた・・・」と冒頭は始まる。疑問が、幾つか列挙される・・・
*「風評被害」を理由にSPEEDIのsimulationを10日以上も公表しなかったこと。
*水素爆発後の3月15〜20日のデータも、多くの地点で公表されていない。
*事故の評価の、いきなりの引き揚げ・・・「5」⇒「7」
*事故原因を、想定外の地震津波の所為だとしてきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・等々、ミッドウエイの惨敗以後の大本営発表の繰り返しに似ていないか・・・今回、福島原発に携わった人々の「墓石」には、その冒頭に「虚言」を加えた「戒名、法名」が刻まれるべきだろう。

原発の、虚名的な名誉を守る為に、住民たちに辛苦を背負わせた・・・過言ではないだろう。どんな危険が、どれほどのものとして、どの様なstageで発生するかをきちんと説明しておれば、心ある住民は、その準備もしていたであろうし、納得もしてもらえたであろう。その様な状況であれば、原発の「廃炉」の決断も早く出来たのではないだろうか・・・。

「2009年6月、電力会社が実施し耐震性再評価の中間報告を検討する経済産業省の審議会」で、1869年の貞観津波の後の1500年頃にも関東を大津波が襲った形跡があることが報告されているにも関わらず、それらに全く触れられていないことが指摘されている・・・」と云う。

また、2006年の内閣委員会では、原発の非常用電源が失われた時に、どういう状態になるかの質問がなされ、「・・・他のプラントと融通するなどの、多角的な対応を事業者に求めている・・・」との回答でお茶を濁している。

また、地震学者の間では、殆ど事実として、プレートに溜まったenergyの増大から、この域の何れかで、巨大地震が発生し、巨大津浪が列島を襲うことは予見されていた。

それらの情報の全てに耳を封じて、天下りの余慶を失うのが怖くて、全て無視した結果が、今回の状況である。全く考えていないのだから、現象が明らかになっても、対処の方法がない。冷却水さえ確保出来ていたら、電源さえ確保されていたら・・・全て後の祭りである。

大東亜戦争:太平洋戦争が、Americaとの彼我の戦力、生産力を冷静に評価すれば、開戦前の一時期に優位に立っていたとしても、戦争は起こしてはならなかった・・・今なら勝てる・・・で、戦争を始めた無責任。国民には、米英憎悪を煽り、あたかも日本が軍事大国であり、戦争は「精神力」で闘うものだと、先導した手法にも通じるものがある。

シンガポールに進駐した日本兵の多くが、彼我の文明の差異に目を見張り、「コカコーラ」なるネオンを目にして驚いていたと云う。そんなnewsも、写真も、日本のmediaには登場しない・・・日本は世界の一等国であると云ううぬぼれで、夫を息子を戦地に送り出して「犬死」させた、政府と、原発安全神話だけを住民に信じさせてきて、土壇場になっても、真実を公開しようとしない政府とに、差があるのか・・・。スリーマイルの事故、チェルノブイリの事故でさえ・・・日本では起こり得ないことが、多くのmediaの紙面を飾っていたのではないか。福島の原発事故は、25年間を雌伏していたことになる。

日本の官僚は優秀である。しかし、その根性には、ヤクザ的なDNAを持っている。それが「天下り」なのである・・・天下り禁止法が尻抜けになるのも、禁止したつもりが、DNAがこっそりと染み出している。優秀な官僚でも、先輩には頭が上がらない。頭が上がらないことで、己も天下りの余慶にあずかる・・・国家に責任を感じない官僚が生まれる所以である。

天下りが出来ないことは、あたら人材を失うことにもなるのだが・・・その隘路を犯しても、天下りを禁止すべきの声は大きくなるだろう。大本営発表も、官僚が真の愛国者だったら、あれほどの軍部の愚行もなかったし、満蒙の荒野に数万人の命を捨てる邦人もいなかったはずである。

また、企業も、事故を拡大させたことで、重要な市場を失うことになる。今回事故で、少なくとも、数十年は、原発の市場は凍りつくだろう。そして、点検で、一旦停止したら、その再稼働も困難になる。じわじわと、電力不足は、この列島を蝕むことなる・・・既存と同じ発電放置なら、弱小のmakerでも製造可能となれば、原発の、大企業有利は消えるだろう。「嘘で固めた安全神話」が招いた災いであった・・・。

草葉の陰で、正力松太郎がどんな顔をして、現状を眺めているか・・・。

原発原発と騒ぐ前に、じっくりと、「Risk management」の体制・組織を確立するのが先だろう・・・フランスの様に、「まず、逃げる・・・」のconceptで・・・。