ウサマ・ビンラディンの死・・・・

テロリストの死・・・

まだ生きていたのだ・・・ウサマ・ビンラディン・・・この報を、街で号外を手にした時の感想。癌を患っているとニュースに聞いていたから、まだ生きていたのが不思議だった。9・11から10年目と言うのも、ドラマティックに過ぎて、やらせの匂いがしないでもないが、取材の現場の様子からは、想像が過ぎるのだろう。来年の大統領選挙を控えて、多少苦戦が伝えられるオバマには、朗報ではあるだろう。しかし、用心に用心をして、全ての電波から隔離された隠れ家で、その情報の運び屋の動きから居場所が確定されて襲撃されたのは、IT時代のなんとも皮肉な話ではある。
隠れ家は、パキスタン軍の士官学校に隣接した場所でもあると言う。「足下暗し」を狙ったのだろうが、文明人の目を逃れることは不可能だったと言うことだろう。
この快挙に、アジアの二カ国が無視されたと言う・・・パキスタンと日本。つまり、アメリカから信用されていない国家として考えた方が良いだろう。私も当然だと思う。世界中がテロの抑え込みに奮戦している時に、インド洋から、補給艦を引き上げ、世界に背を向けた日本である。民主党の時代錯誤、外交音痴に我慢がならなかったアメリカの「一矢」と言うところだろう。その意味では、「TOMODACHI作戦」も、次の政権が自民党になるとの読みを含んだものだと考える方が正しいだろう。
TBSの解説者は、ウサマ・ビンラディンの追跡で、多数の民間人が犠牲になったと・・・この快挙を喜ばない、評価しないが如きのコメントをTVに語っていたが・・・9・11の犠牲者の事を忘却しているらしい。払った犠牲と救われる犠牲・・・ラディン亡き後もテロの恐怖が、直ぐに消えるものではないが、これ程の大物のterroristが、今後登場するとも考え難いし、その様な政治情勢が生じるとも思えない・・・勿論、北朝鮮問題はあるが・・・。石油大国も、すでに興味は、「post石油」に向っている。手持ちの財も、その方向で使われるとすれば、無駄なテロに消費する愚かなこともしないだろう。ビンラディンの残りの生涯を考えた時・・・アメリカの最高の貢献だと考えるべきではないのか・・・。
確かに、TBS・解説者の言う様に、無辜の人々が犠牲になったと言えなくもないシーンもあったのだろうが、大凡は「支持者」である。9・11の犠牲者の目からは「同罪」であろう・・・成人であれ、子供であれ・・・。視聴者の好感を得ようとして、非人道的な発言ではないかと、私は批判したい。
ラディン自身は、サウジアラビアの大富豪一族の一員である。貧困国の救済の方法は幾つもあっただろう・・・何故テロなのか・・・TBS・解説者の様なシンパの存在が、彼の様なテロリストの拠り所でもあるのだら。彼のアメリカ憎しは・・・アフガンからソ連軍を追放するに果たした役割をアメリカが報い無かったことにあるが・・・それは至って「女性問題」である。
トルクメニスタン辺りの原油をインド洋に輸送するルートを、ソ連撤退後の、アフガンに建設し、アフガンの経済発展に寄与させようとしたアメリカの外交に、ラディンは期待した。しかし、女性に厳しいイスラムの戒律を要求するラディンの政策に、アメリカの政治的女性団体が猛反対、その政策を中止に追い込んだ・・・ラディンが暴れ出したのは、それからである。これを内政干渉とするラビンディンに正当性を認めるか、あるいは、女性の権利拡張を由とするか・・・私は、アメリカの政治的女性の団体が、「禁酒法」の愚行・・・再びの感を拭い得ない。女性の浅はかさであるとも・・・
この地は、第一次世界大戦の、隠れた発祥の地でもある。イギリスに、アラブから追い出されそうになったドイツが、起死回生の政策として、バグダッドからクエートに鉄道敷設を画策した・・・スエズ運河の価値を貶めるためである。これを、イギリスが阻止すべく動く・・・裏では、イラクの覇権を巡って、フランス、イギリス、ドイツ等が凌ぎを削っていた背景もある。ドイツは、イギリスの背後(インドの背後)のアフガン各地の首長にドイツへの助成を画策する・・・が、これにも失敗。第一次世界大戦に突入する・・・。かつては、東西通商の「道」であったアフガン・・・今後も、ここに戦火が消えることはないのではないか・・・と、私は思う。
ギリシャの覇権、ローマの覇権、そして大航海時代の覇権争い、そしてパックス・ブリタニカと言われる英国の覇権・・・そして現代は、パックス・アメリカーナ・・・世界の覇権はアメリカにある。局地的には、チムール帝国があり、唐帝国があった。得てして、覇権国家の姿が明瞭な時代は、概ね、世界は平和である。ロシアも中国も、人口と領土は大きくても覇権国家にはなり得ない・・・何故か?・・・私は、近代国家成立までの経緯と、そこに培われたエートスに由来するのだと思うが、私が論じるには問題が大きすぎる。強いて言えば、ロシアも中国も「農奴」をつい最近まで抱えていた国家であると言うこと。真の意味での国民が醸成されたいない・・・ことにあるのだと思う。
農奴」とは、土地に縛り付けた「奴隷」であって、国民ではない。中国も、ロシアも、その近代化の端緒に社会主義化し、農民を土地に縛り付ける政策を採用した・・・中国は、今日に至っても、農民の移動の自由はない。ある意味、近代国家の体をなしていないのである。また、ロシア人は、「ロシア人は、ロシアが存在してロシア人である・・・」との、トルストイの言葉があるそうだが、覇権を握るべく国際国家になる資質も資格も持たない国家であり、国民であると考えるのが正しい判断だろう。
アメリカ憎しの論評も多い。ブログにも・・・「他の方法も・・・」・・・そんな事は赤子でも分かる。しかし、実行可能性、そして実効性・・・そして実行中の犠牲・・・それらを勘案すれば、「これが最高の手段・・・」;これは決心である。貧困国を、そのままにして問題の解決はないと・・・己の貧しい育ちを誇りながらの非難もある。貧困国は、国民の心が貧しいが故に貧困なのである。経済先進国の「搾取」だけを問題にするが、15〜18世紀の関係を未だに残す、自らの無策を改めようとはしない。イスラエルパレスチナ・・・小さな荷物を持ってヨーロッパの生活を捨てて辿りついたユダヤ人・・・生活の根拠を持ちながら、自ら豊かになり得なかったパレスチナ人・・・農業の経験が乏しいユダヤ人が、キブツを成功させた因子はなんだったのか・・・・アフガンにも、論じることが可能なのではないか・・・。知識人の「名」に恥じない論説を私は期待したい。
なにはともあれ・・・・「おめでとう!」と、オバマに伝えたい・・・・。