菅直人の玉虫色.

民主党は、populism-manifestを掲げて選挙を戦い、愚かな大衆的国民の「票」をかき集めて「政権」を奪取したのではなかったたか・・・・私の周りでも、危惧する人々は多かった。もろ手を挙げて喜んだのは、元・労働組合幹部の経験者だけだった・・・俺たちの望みが叶った・・・と。
2.
北九州・初代市長の革新首長の悪夢が蘇ったのである。革新思想は、専制的なものである。物事を俯瞰的に観察することなく、一つの欠点を一つの手法で変えようとする。旨く行かない時・・・旨くいくはずもないのだが・・・その原因は、愚衆にある。つまり、愚かな大衆なのだが、彼等は、「神様」を崇める。ロシアがそうだったし、今、北朝鮮、中国の実態が、その例である。ベトナムも政治体制的には同じ様なものだが、ベトナムの為政者は、それを念頭に統治をおこなっている・・・と、私には観察出来る。利口な政治である。
3.
世間離れした、教科書の様な政治理念で、我流の政治理念を貫く・・・・政治とは、その国家の現在への歴史を含めて存在するものであり、その背後を支えているのは、一面でethosであり、習慣であり、生活者の思想である。得てして、一行の公式、構造式で「事」を計ろう、実現しようとする人々が溺れるのが、「理想」という夢である。理想にしろ、夢にしろ・・・そこに俯瞰的な視野は存在しない・・・ロシアという国家が、今日に至るまで、安定しない理由も、帝政を廃した、その時の手法にあると考えるべきだろう。ドフトエフスキーが言う・・・ロシア人は、ロシアがあって、ロシアにあって、ロシア人なのだと・・・。彼等は、「農奴」のDNAを体内に保持しながら、これからも存続するのだろう。迷惑な話ではあるが・・・。
4.
個人の「口」から、軽い脳を経て発せられる言葉は、単に「言葉」であるに過ぎない。しかし、それが、総理と云う「箔」を纏うと「政策」になる。しかし、その政策の実行性は、その側近でさえ理解できないことが多い。よしんば、出来たとしても・・・偽装であるが・・・それは、おべんちゃらの域をでるものでないだろう。鳩山由紀夫の発言の軽さも、同様な生態である。1000万戸の太陽パネルしかり、安全に稼働している「原発」の突然の停止しかり・・・総理大臣とは思いつきで命令が出来るのだ・・・と、その権力の大きさを我々に教えてくれた・・・これは収穫だった。
5.
収穫は外にもある。「総理は簡単には辞めさせられない・・・」;菅婦人も言った・・・前の総理が簡単に辞め過ぎたのよ・・・と。けだし名言。通年国会が求められているが、これが、総理の永年勤続を保障する道具になりかねない・・・ことも、我々は知った。もっとも、議員内閣制度を大統領制への移行させる動機も、国民の間には生れるかもしれない。また、一会期に「不信任案」は再提出が出来ないことも・・・・今回も、会期延長をしないで、再度「不信任案」提出の方法もあったのだろうが、その時は、案外とすんなり民主党員の多くが造反して可決されるかもしれない・・・しかし、二度目は「解散」もあり得るとの判断があって、自民党も会期延長に応じたのであろう。
6.
建前の言葉を重要視するのは、この手合いの常套手段・・・「しかるべき時に・・・」〜今年の流行語になるそうだが、小学生の間では大人気だとか〜は、常に「玉虫色」。信用できないのだが、側近は、使用しているとのgestureを取らざるを得ない・・・出来なければ離れるだけが、可能な手段なのだが・・・・愚かな大衆の評価は下がる。選挙の「一票」が、愚かな大衆の一票の多数であると考えれば、、馬鹿殿様でも忠誠を尽くさざるを得ない・・・岡田幹事長の苦汁だろう。そろそろ・・・小沢か鳩山への鞍替えを考えているのではないか・・・可能性なしとしないが、それでは、沈みかかった泥舟に乗り換える様なものだろう・・・浅慮で行動して貰いたくない・・・私の気持ちである。
しかし、馬鹿の相手は苦労が多い・・・・自民党に同情する所以だが・・・馬鹿を相手にしている間に、自らが馬鹿に変身している恐れは、得てして多い。カフカの「変身」も、そんな比喩で書かれているのかも知れない。正直者、働き者・・・そんな、他人の評価に溺れると、自らが「毒虫」になっていると・・・そして、殺される運命にあると・・・。
石破氏が、あまり表にでないのも、そんな思慮遠謀があるのではないか・・・石原氏なら、まだまだ時間がある・・・谷垣さんの命運は、不信認案を否決された時に終わっている。派閥の領袖は、すでに過去の人・・・これらの自覚が存在することが、自民党の強さだと、現時点では判断しているのだが・・・民主党の騒動に自らの精神が劣化する自民党員もいるだろう・・・しかし、菅直人の如き愚か者はいないだろうから・・・大患には至らないだろう・・・私の観測である。
7.
「新たな体制」・・・まさに「玉虫色」・・・・柳の下に二匹目のドジョウがいるか・・・いないと思うのが正常な神経だろうとは思う。しかし、民主党の執行部、自民党幹部の感覚に、どんな齟齬が潜んでいるかも知れない。菅直人も、その僥倖に期待を賭けて、この玉虫色のphraseを持ちだしたのであろう。
恐らく、党内の辞任を迫る声が大きくなれば、次は、自民党と手を握ることがあるかも知れない。寝た振りをする方法もある・・・・法案が成立しないのは、私の所為ではありませんよと・・・大見えを切ることも不可能ではあるまい。
8.
各TV今日のニュースワイドショーでは、情緒的な言葉ばかりが先走っていて、政治への非難が薄められている感がある。その代表が・・・「故郷を離れて・・・」と云うphrase。今日までも、どれほどの若者がこの地を離れたか・・・それは政治の所為ではないだろう。この地に生き抜く意志と力の欠如以外のなにものでもない。その意志があれば、原発誘致もなかったであろうし、建設承認の政治的判断もなかったであろう。おそらく、地元の被災者には、その反省がある。気楽な、お馬鹿talentがしきりに口にする所以でもある。菅直人の居ずわりが成功している理由の一つに、この感情がある。問題解決とは、時に、いあ、ままドラスティックな判断を求められる。今回でも、津波の跡地、放射能の汚染地区を、今後100年間を無人化することも、早期解決の方法であろうかと、私も思う。その意味で、安藤忠雄氏の、公園化の発送は真剣に検討の俎上にのせられるべきだったと、私は思うのだが・・・いつの間にか消えてしまった。「故郷、絆」等の似非感情が、復興を遅らせているのではないか・・・強ち、政治だけに責任を転嫁しては、復興は遅れるだkである。その中に義捐金、保証金漬になった人間の精神の方が、その力を失うことが、私には懸念されるのだが・・・。
9.
2050年頃には、500万人が流出すると云われている地域である。今回震災で、原発誘致の機運が新たに生れない保障はない。力強いポスターのphraseを体現する頑張り、政治的見識の醸成が、如何なる形で「姿」を見せるか・・・・戦後の開拓地に入植した、満蒙からの引き揚げ者の姿を重ねるのだが・・・他から、「化け物」と云われる位の頑張りに期待をしたいと思う。
現実をきちんと見据えている限り・・・「玉虫色の言葉」は聞こえないはずだから・・・。地域の首長にしても、「政治と金」に、被災者の希望を見出す様では、心もとない・・・堺屋太一が言う様に、「東北州」としての独立の意志・・・100年の計で歴史を遺して欲しい・・・と、私は思う。
10.
今、関西、中部では、アジテーター的知事の元気が良い・・・論理なき強気の発言が人気に、自らを託している貧しい姿が、私には卑しく見える・・・「手法」・・・それは、アジってはならない。被統治者への懇切丁寧な、かつ地味な説明を要求されるものなのである。日々のTVのコメンテーターの、人気取り的発言に踊っていて明日はない。菅直人の「玉虫色」と、殆ど同類、その影響は同罪である。

言葉が信じられる「政治」、そして「報道」・・・今必要なのものは、これに尽きる!