高句麗の復活を恐れる胡錦濤・中国

1.
アリラン」は中国の民謡とか・・・胡錦濤王朝も末期現象なのか、金正日が「国」を売ったのか・・・・まだ定かではないが、怒り心頭は・・・韓国。今後の経過が見ものだが・・・・韓国にも、この歌が、「抗日」のメロディーだと云う知識人が多いと云うから・・・中国の主張をひっこめさせるのは、容易ではないだろう。因みに、この歌に歌われる「アリラン峠」は、朝鮮半島の各地に沢山あるらしいが・・・「峠(とうげ)」と言う、この文字は、日本生れの造語である。
2.
多少精度を欠くが、中国・東北地方は、かつての満州としてもいいだろう。この地は、古代高句麗と重なる。また、万里の長城の東端には、「安子城址」があり、内陸部には、「国内(くんね)」が存在する。チュモンが、扶与(ぷよ)から、父の意志を継いで独立、「漢」の支配を脱し、孫のムヒルが、扶与を滅ぼして、北方の覇者になって、後に、平壌に進出、広開土王で、王国の領土を最大にする。そして、「随」を滅ぼし、唐との闘いの中で国力を失い、新羅〜唐の連合軍に 破れ王朝は滅亡・・・遺臣が「渤海」を建てる。
高句麗滅亡の後に誕生した「渤海(はれ)」も、支配者は朝鮮民族・・・つまり、高句麗の遺臣である。数百年を存在し、菅原道真等が、深い交流を続けた・・・この時期、渤海から輸入される「毛皮」は、貴族たちの垂涎の的だったらしい。日本海側の豪商たちが、抜け荷的に、入手する事への取り締まりが厳しかったと云う。
唐末・・・安部中麻呂が、この国を経て日本に帰国しようとしたが、既に渤海の政治不安が大きくなり、帰国を諦めざるを得なかった・・・彼は、彼の地で、生涯を終わる。
3.
中国の言い分は、東北地方で、盛んに詠われている・・・そして、そこは、中国の、”固有”領土だということらしい。「沖縄民謡」を、中国の民謡だと云いかねない・・・日本でもファンの多い、黒人霊歌やジャズを、日本の民謡だと言うに等しいのではないか・・・いずれにしても、中華思想も、此処に至れば、滑稽の極みではある。
沖縄の方々に異和感はないのだろうか。少なくとも、100年少し前までは、中国皇帝に朝貢していた「沖縄」である。チュモン高句麗よりも、その可能性は高い。
4.
アリラン」・・・ウイキペディアによると、高麗・末期に歌われ始めたものだとある。そもそも「朝鮮族」をDNA的に区別できるのか・・・中国人・・・なかんずく漢族なる分類も学術的には意味のないものだろう・・・勿論、日本人とても同様。近代国家が、ここに拘るのは「領土的野望」を措いてない。領土的野望〜前近代的なものだと、私は思うが〜を持ってして、政権の維持を計る。加えて言えば、その維持を、外部的危機感を煽ってする政権とは・・・中国を大国扱いする事への中国自身の甘えでもあるのだろう。しかし、はた迷惑な話ではある。
5.
東北地方は、清朝が、漢民族の入植を制限した地域である。つまり、清朝の発祥の地であり、聖地でもあったのである。故に、ロシアも日本も・・・この地を狙っていた。英国、フランス、ドイツなどは、中国全土を、分割統治することで、動き出していたころである。ロシアのシベリア鉄道は、スエズ、大西洋をイギリスに抑えられたフランス、ドイツの太平洋への出口でもあったのである。その出口の南端が、北朝鮮興南・・・当時は、不凍港の北限だったのである。満州(現・東北地方)、シベリア鉄道、そして朝鮮半島はEurope列強の太平洋への三点セットだったのである。日露戦争後に、アメリカの鉄道王・ハリマンが、桂内閣に、シベリア鉄道の共同経営を呼び掛けるが、その背後の危険を察知した小村寿太郎が、契約を破棄させる。日本列島の運命の分かれ道でもあったのだが・・・歴史に、「もし、たれば・・」は無い。
6.
東北地方・・・契丹突厥、靺鞨、夏、金、等の遊牧・騎馬民族の王朝が、くんずもつれずの闘争を繰り返し、王朝が興り、滅びた地域である。特に、渤海が、これらの諸民族に、優秀な「馬」を供給する基地であったことが、後の、モンゴル帝国の勃興に無関係ではない。複合・多民族国家である中国にとって、純潔的な民族の存在は非常に危険である。恐らく、アメリカの成功は、「民主主義」と言う理念の定着だったのだろうと、私は思うが、それは、ヨーロッパに確立した文化・文明と、それを十分に受容し、自家薬籠中のものにした人々勇敢な行動によするものだったのだろう。
中国人には、グローバルな理念は、生来的に生れないのではないか。孔子孟子が、あれだけの哲学を残しながら、これが、政治哲学・理念として定着した時代は皆無である。
共産主義」の理念・哲学も、経済的破綻への回避をまだ探り当てていない故に、西欧文明の終着である、ロシアに於いて、一先ず破綻した。今後の復活は、また新しい理念・哲学の発祥を待つ以外にはないだろう。しかし、中国では、共産主義が「鬼子」として、そのまま強大化してしまった。恐らく、このまま破綻への道を辿る運命にあるのだろう。
7.
反して、朝鮮族は、globalな民族である・・・交易の民でもある。そして、広大な「建国神話」を持っていて、韓流・時代劇ドラマに、度々顔を見せる。高句麗建国の「チュモン大王」しかり、高句麗王朝の領土を最大に広げた「公開土王」しかり・・・高麗も、この「チュモン神話」が旗印である。漢民族は、天体への関心が強く、「建国神話」を持たない。寧ろ、「改易」の思想に振りまわされる、悲しい民族でもある。それだけに、「漢族」に融合する弱小民族への寛容度は大きい。しかし、それは、政治的な服従を前提としなければならない。「朝貢」とは、その形である。民族としては小さくでも、国土が狭くても、朝鮮族の方が、漢民族よりも、希有壮なのでないか・・・。金正日金日成が、その資質に欠けていることは言うまでもない・・・。
そして、「百済」は、百の部族を従えた・・・東は日本列島、西はタクマラカン砂漠まで・・・新羅が、辛うじて「檀君神話」の正統なのだろう。しかし、チュウモンの高句麗建国のconceptには、檀君神話が、密かに影を落としていると、私は思う。韓流ドラマを観賞する楽しみである。檀君神話は、軽く、「長安」を飲み込んでしまう。
8.
胡錦濤・中国の馬鹿げた言い分に興味があるわけではない。寧ろ、金正日が、ロシアあたりと手を結んで、高句麗復活を企てているとしたら、日本も乗り遅れないように・・・と、思うだけである。
「チャミンゴ」では、チュウモンの孫の「ムヒル」が、平壌楽浪郡を狙っている・・・つまり、当時の東北地方・・・高句麗は寒冷の地で、作物が十分に収穫できない・・・・故に、部族間の争いが絶えない・・・百済が、この東北を捨てて、朝鮮半島南部の肥沃・温暖な地方に建国した所以でもある・・・平壌・・・高句麗の支配者には、朝鮮半島平壌以南の温暖・肥沃な地方の獲得は、高句麗建国以来の願望でもあったのである。しかし、新羅の国力を凌ぐことは出来ず、唐王朝との争いの中で、滅亡する。「チュモン」、「風の国」、そして「チャミンゴ」・・・私は、金正日に期待する所以である。
朝鮮という民族・国家は、高句麗新羅百済の三国鼎立の時代から、北の資源、南の物産と言われ、このバランスで歴史を繋いだ民族・国家である。かつては不毛の土地だった、古高句麗に豊富な地下資源が発見された現代・・・中国が、ここを朝鮮・韓国、あるいは金正日・朝鮮に渡したくないと思うのも、自然な心理だろう。金正日が背けば、北京は、金正日のミサイルの射程距離内・・・金正日の頻繁な東北訪問も気にせざるを得ない実情でもあるだろう。ならば、朝鮮族に、中国人意識を高揚させよう・・・そこで、「アリラン」が、他民族的中国人の民謡である・・・と言う、妙ちくりんな論理が生れる。滑稽と言えば滑稽なのだが、足下のふらつき始めた胡錦濤共産党にとっては至極真面目な、かつ滑稽な論理ではある。
9.
朝鮮族は、誇り高い民族である・・・・東北地方に、朝鮮民族の勢力が拡大し、強力になり、民族意識が高揚すれば、私は夢ではないと思う・・・・ロシアにおける「コザック」の様なだらしないことにはならないのではないか・・・密かに期待している。
日本・韓国・金正日・朝鮮の三国鼎立は不可能か・・・この三国に、ベトナム、ヒリッピンが加われば、アジアも随分と静かに、平和になるのではないか・・・私の妄想か?