再生エネルギーの可能性とは・・・・

1.
「浮体(風)エネルギー」、「海洋温度差エネルギー」、「太陽光エネルギー」、そして「地熱」・・・この外にも、「暖流、寒流エネルギー」等もあるらしい。ソフトバンクの孫さんが力を入れているのが、大規模「太陽光パネル」。九州の、ゴルフ場建設(断念)予定地が、候補として有力・・・プロジェクトも活動を開始したとか・・・「発電」だけを視野に置けば、最も、可能性が高いのではないでしょうか。他は、まだ研究段階でしょうが、佐賀大学が根気よく研究を続けてきた「海洋温度差エネルギー」も、可能性は高いでしょうね。しかし、エネルギーは、その搬送ロスが非常に大きい。蒸気機関車は、決して効率の良い「蒸気発生装置」ではありませんが、「地産・地消」の典型的な形です。全てのエネルギーが、この様に作られ、この様に消費されると、随分と楽でしょう。
家庭のガス配管から水素を分離して、家庭ごとに「燃料発電」を行う・・・これも、「地産・地消」型ですね。一時、少し騒がれましたが、今はニュースになりませんね。色々と難しいことがあるのでしょう・・・西部ガスがCMしていましたかね?
余談ですが・・・人間が「蒸気」の噴出力を使った遊びを初めてから「蒸気機関」を発明するまで、産業革命の動力源として実現するまで、2,000年近くを要しています。武器として登場した「核兵器」から、民生の夢のエネルギーとしての「原発」まで、殆ど瞬時ですね。この知恵を無駄にしていいものか・・・私は、考え込みます。
2.
太陽光パネル・・・最も期待が掛かる発電ですが、工業用ともなると、そう簡単ではないでしょう。しかし、パネルの発電素子の研究が進めば、現在の数倍は可能かも知れません。何よりも、自家で発電して、自家で消費できる強みがありますし、燃料電池の様に、化石燃料に頼る必要が無く、温暖化ガスの発生もないのが、最も期待されるところでしょう。
なによりも、地球に住む我々にとって、太陽エネルギーは究極の完全エネルギーですからね。最も、50億年後には、そのエネルギーも尽きる計算になっているそうですが、その時は、膨張した太陽が地球を飲み込むそうですから、まぁ・・・いいところ、後30億年という所でしょうか・・・こんな話、風評被害となって、人々を怯えさせるとは思いませんが・・・世界には、一年の半分は夜だと言う地方もありますからね・・・世界中で、太陽パネルとはならないでしょう。
3.
自家発電〜自家消費の強みは、送電線での送電ロスが「0」であるのが、最大のメリットでしょう。現在でも、工場等の自家発電は、電送ロスがないので、病院や工場、あるいは小売業等で使われていますが、温暖化ガスの制限が厳しくなれば、現在の様に「化石燃料」に依存することは出来なくなるでしょう。
八幡製鉄でも、私が入社したころは、「西田発電所」があって、暖房用の蒸気が事務所に送られていました。しかし、船泊まりの近くの煙突からは、毎日、もくもくと真黒な煙が上がっていました。製鋼工場に酸素吹き込みが始まるまで、船溜まりの海面を汚染させていたのは、この発電所の煙だったはずです・・・汚いものだと思ったことはありませんが・・・。
4.
今日・・・先日、菅総理が、根拠のない「脱原発」を記者会見で発表しましたが、社民党の福島代表を除いては、民主党・党員すらが、「眉唾」で聴いたようですね。もし、「脱原発・総選挙」が行われ、各候補が「脱原発」を選挙公約に掲げれば、各企業は、化石燃料に依る「自家発電」を大幅に増設すいるでしょう。民主党政権が、世界に公約した、温暖化ガスの目標等は、全く無視されるのだろうと思います。
4.
先の「魔法のボタン」に述べた様に、私は、急速な「脱原発論」には反対です。寧ろ、太陽光パネルに、その可能性が見えるなら、小型にして安全な「原発」が、自家発電として利用されるべきではないかと考えます・・・太陽光パネルを自家発電とすることは、困難が大きく、物理的・実現性に乏しいと考えますから。
原発」・・・人間の文明の中で、「武器」として誕生して、「民生」に、見事に、その利用を転換した唯一のものではないでしょうか。勿論、安全性では、まだまだ問題はありますが・・・全ての文明が、その危険を乗り越えて今日があるのです・・・この日々の進歩、技術の進展は、人類の大きな進歩を約束するものだと考えるからです。
因みに、「ダイナマイト」は、ノーベルが「民生」として、世に送り出したものです。しかし、軍事への転換は、殆ど時間を要しませんでした。現在も、「戦い」の場には常に「爆薬」とて存在し、その利用は日々工夫され、毎日、世界の何処かで、人々を殺戮しています。遂には、爆弾を抱いたテロリストすら生みだしています。もし危険だから・・・の理由で、研究を中止するのなら、先ずは、ダイナマイトが、その対象でなければならないでしょう。
5.
イタリア、ドイツが、いち早く「脱原発」を打ち出しましたが、私は、早晩、その政策を変更するだろうと、予想しています。そして、両国とも、先の世界大戦の枢軸国ですから、フランスもイギリスも、そしてアメリカも、この両国のGDPの低下は喜ばしいものと受け取っているでしょう。特に、ドイツは、良質の石炭を大量に埋蔵していり、私の予想では、その採掘・発掘の大株主は、ユンカーと言われる、かつてのドイツ(プロイセン)貴族の家系でしょう。ヒットラーでさえ、彼等の、台頭を抑えることは出来ませんでした。ヒットラー・ドイツの敗北の主原因だと言われている位です。脱原発で、斜陽だった石炭産業が活気付く・・・他人の懐ですが、ドイツを理解する時に忘れてはならない視点だと、私は思います。
また、イタリアは、アルプスを北に持っていますから、潜在的な「水力」への開発力も、まだまだ持っているでしょう。アルプスに沢山の水力発電所を建設するために観光地が犠牲になるような状況が生れれば、また「原発」に戻るのは必至だと私は予想します。ドイツは「原発か石炭か!」、そしてイタリアは「原発か観光か!」の二者択一を迫られることになるのでしょうね・・・それまでは、フランスと言う、他人の懐に依存しながら・・・
6.
「浮体・風力」は、相当にきついアセスメントが課せられそう・・・私も、近くで・・・東京電力・富津・・・見ているが・・・いや、騒音を聴いていますが・・・その騒音は凄まじい。頭上・10メートル程だったと記憶します。が、近くで・・・と言っても100メートルほど離れても、会話に不自由したとおもいます。まだ、プロトタイプの域を出ない規模でこれですから、実用化は、水力ダム程の山中でなければ難しいかな・・・友人達と、そんな会話をしたことを思い出します。低周波の振動の人体への影響も、決して無視できないのでないでしょうかね。ケイタイの電波で病気になる様な人は、とても近くには住めないだろう・・・飲み屋のカウンターで、そんな会話を聴いたこともあります。効率化も含めて、色々な改良・改造・あるいは新しいアイディアが盛り込まれるでしょうが・・・立地条件から言えば、相当な「迷惑設備」になりそうな気が、私にはします。そして、太陽光よりも、気まぐれではないのでしょうかね。
原発程の、地域への恩恵もないでしょうから、建設地に苦労するのではないかとも考えます。風力の騒音が無視出来る様な、沖合の海上にでも設置すれば良いでしょうが・・・それほど簡単なことでもないでしょう。
7.
「海洋温度差」は、媒体が、「アンモニア」です。漏えいしても、実害は殆ど考えられないでしょうから、効率と規模の問題でしょうね。また、媒体が、ほぼ永遠に循環して利用できますから・・・その意味でのエコ・エネルギーでもあるでしょう。しかし、一見・人畜無害のアンモニアでも、数万キロの発電を生みだす規模になれば、事故への対応は考えておかなければならないでしょう・・・大量のアンモニア・ガスが市街地を襲う光景が少々恐怖ではありますね・・・未知であると言う理由で。
世界で、この研究を続けているのが佐賀大学だけだと言うのも、少し気になります。世界で一時はブームになったと言いますから、それが萎んだ理由を明らかにすべきでしょう。「失敗」は、「見なかった・・・」部分に生れる・・・「失敗学」・畑村洋一郎教授の言葉だったと、記憶します。
もし成功すれば、海水汚染も殆ど皆無でしょうし、消費もない。アンモニアは、多少はリークするだろうから消費するでしょうが・・地産地消なら、経済的効率も期待できるのではないでしょうか・・・「原発」程の発電量が期待できるなら、「原発」の代替として有力な候補ではあるでしょう。そして、発展途上国にとっては、技術的に朗報になるのではないでしょうか・・・期待する価値はありそう・・・。
8.
人類は、お互いに約束・規制をして、その約束を守ることして「文明」を生み、そして発展させてきました・・・いま、人類が人類らしからぬ行動原理の中で、新しい「文明・理念」の創出を求められています。「人権概念」も、すでに、新しい文明理念には適合しないものになりつつあるのではないでしょうか・・・私は危惧します。ある意味では、「思想的弱者」には辛い時代が訪れようとしているのか知れません。「弱者」の正義が無視される時代と言うべきかもしれませんね。人と「和」することが苦手、あるいは出来ない・・・ほとんど人間扱いされない時代なのかもしれない・・・恐ろしい生活環境であります。もう万人が平等を求めても良いエネルギーは存在しないのではないでしょうか。何かを求める行動に自由が保障される環境ではなくなっているのではないでしょうか・・・。
8.
何れにしても、「脱・原発」は、原発反対者の好きな「自然」を破戒することは否めません。それが地球温暖化であり、あるいは、氷河の破戒であり、地球温暖化は、南海の小国を海底に沈め、シベリアのツンドラの自然を破壊し、連動する「海洋生物」への影響も無視はできません。陸地あっての海ですから・・・陸・山なくして、海に生物は生存出来ないことを、私達は忘れてはならない・・・と、私は思います。更に言えば・・・人間の作りだす危険は、人間の知力で回避出来る。あるいはコントロールできる・・・しかし、自然を知り尽くすことのできない人間に、自然破壊を食い止める手段はありません。言うなれば、人間は、自然を、人間の都合の良い様に工夫しながら破戒して生存していると考えることも出来ます。自然を直接にエネルギーとして利用しながら自然を破壊する・・・歯止めはどうする!・・・自然は「核エネルギー」よりも大きなものだと、私は考えます。「核エネルギー」をコントロール出来ない人間に、自然をコントロールする力があるとは、私には思えない・・・この文章の主旨として読んで頂ければ幸いです。
7.
原発」を嫌悪する・・・ならば、新しいエネルギーの形に何を求め、己の生き方と、他人との共存の形に想像できるものは何か・・・「反対」だけでは先には進めないでしょう。他人を恨むだけでは、何も生れない・・・棺桶の中からでも、語りかけられる強靭な己があってこそ、新しいエネルギーを考えた世代に相応しい人間なのだろう・・・と、私は覚悟します。

日曜日(17日)のTV朝日の、スリーマイル以降のアメリカの原発・・・日本は、この事故と、その後のアメリカの対応について全く学んでいないことが明確ですね。1980年代の、世界に冠たる、技術国・日本の思い上がり以外のなにものでもありません。せめて、このレベルに達するだけでも、まだまだ「原発」には希望がある・・・私は思います。
この時にアメリカが使ったお金が、250億ドル(2兆円?)・・・NCR報告・・・今回の保障を含めた損失に比べて、なんと安い事でしょう。事故とは、そんなにも高く付くもの・・・傲慢の恐ろしさはここにあります。恐らく、アメリカは、福島にも学んでいるはず・・・果敢に挑戦すべきでしょう。挑戦を忘れた、あるいは恐れた臆病な民族は、国家は、滅びるだけですから・・・。