TPP論議・・・国論二分は正しいか?


TPP参加・・・国論二分だとか・・・その様な景色が見える方には、「満州事変」、「真珠湾奇襲」前夜の日本、遡れば、「ロシア憎し」の日露戦争開戦前夜・・・も格の如しか。JA、医師会・・・等々シュプレヒコールを叫ぶ姿は、「八紘一宇」の前夜を想起させるものがあるのではないか・・・幼い少年期の私には、意識して聞いた記憶はないが、戦後の読書や映画、最近は、当時のフィルムを再生したドキュメントで親しいものである。

朝鮮半島を日本が経営する・・・これは、アメリカが、日露講和の条件として認めたもの・・・これで我慢しておけばいいものを、中国大陸の権益を西欧列強並みに得たいと、満州に進出・・・余勢を駆って仏印への進出が列強の心胆を寒からしめ、日本のインド侵略を恐れたイギリスの陰謀に乗せられ、真珠湾奇襲と言う軽はずみに走った。高々、疲弊した清朝との日清戦争に勝利し、革命前夜のロシアと、判定勝ちを納めた日露戦争の余勢ではあったのだが、世紀末に黄泉に旅立った「勝海舟」の戒めるものではあったが、日本の大衆は、「脱亜入欧」と、支那(中国)への懲罰的侵略を唱える福沢諭吉に乗せられ、その勝利の代償としての、自らの国際的孤立への道を急いだ。勿論、当時の政治家、大衆に、自らの歩く道の果ては見えないにしても、一時的な、「国家幻想」に酔いしれた結果ではあった。その「国家幻想」とは、便乗参加の第一次大戦で、漁夫の利を得、交際連盟に椅子を得た、その過剰な自信であった。

今、個人GDPでは、殆ど世界一位・・・の数字に酔いしれている現状が、「孤立経済」への自信に溺れながらも、「米」を失う、あるいは、諸政策のシステムに傷がつく・・・等々を怖れ、一部、国内権益が侵害されることを怖れる、農業を含める業界の反対の声が大きい。
マスコミ、TVには、参加賛成の報道もないし・・・マスコミは、「賛成」では新聞は売れないとおもっているらしい・・・TVにも、「反対」の政治家、業界の姿だけが目立つ・・・・ニュースの分析的理解が出来ない大衆には、日本中が「反対」の声に満ちているがの如き光景だが・・・案に相違して、賛成の声も半数はあるらしい。

昨夜も、BSフジ・プライムニュースに出演の、榊原英資伊藤元重の両氏・・・演出なのか、意見は対立して要る様に見えて、その主張からは、ほぼ、「参加」の方向にある。先日の同じ番組の出演した日下公人氏の、反対の論争は沢山あるほうがいいのです・・・何故なら、日本はこれほど苦労して参加しているのだとの印象を、参加国に、そのマナーを見せ、理解させることになるから・・・と、言うものだった。榊原英資が、一見反対を唱えながら、伊藤元重と良好な雰囲気の中で討論を続けた所以でもあるだろう。

前・農林大臣、自民党の「農業族」の大物議員達・・・このシュプレヒコールに国民が惑わされることは回避されるべきであろうが、所詮は、政治的には、少数派の農民票である。都会の中で、その格好よさから「参加反対」を唱えている主婦も、米の値段が、[1/7]にはならないまでも、美味しい・安い米への魅力からは逃れられないだろう。こんにゃくに至っては[1/14]であるとか・・・おしくない米は、菓子類に回される・・・主食の「米」の地位が揺らぐことはない・・・そんな事実に気がつくのに、それほどの時間は要しないだろう。
いうなれば、農業基本法が出来てから、農業は「保護」されるだけの道を歩いてきて、自力厚生の道を見ようともしなかったのである。

現実に、JAから離れた若い農業経営者は、それなりに成功してりうのである・・・今後は競争も増すだろうが・・・。つまり、旧態依然・・・子供に魅力のない農業を続けながら、自らの田畑を痩せさせ、子供が農業に戻る為に必要な、農業の魅力を日々に失いながら、今、TPP反対のデモに連なる・・・悲しい姿があるのである。己が、何をしてきたのか・・・子供の為だったのは、自らの保身だけだったのではないか・・・胸に手をあてて考えるべきだし、政治家も、辛い言葉を掛けるべきなのである・・・・「希望ある辛い言葉」・・・政治家としての責任ではないか。愚かなままの農民の票が得られれば、東京の一等地に、住み続けることが出来る・・・そんな事を考える政治家なら、農民が利口になって追放して欲しいと、私は願う。
ここ何回かの、該番組で、「食料自給率」のマヤカシが、話題になりそうでならない・・・きちんとしたデータできちんとした議論が出来る・・・これは、、メディアの責務である。カロリーベースの「食料自給率」で、国民の判断を誤らせる・・・極悪犯罪と言うべきだろう。