党内紛争・・・吾等のethosか????

桂太郎」を、ザーッと読んだ。日本の憲政がやっと軌道に乗った頃の政治物語・・・と、思いながら読んだのだが、政府・議会の上に、「元老」がいて、貴族院があって、更に、その上に「天皇」がいて・・・この国の政治が、比較的旨く廻っていたことを思う。しかも、天皇は、幕末の英才たとが、心血を注いで育てた「逸材」である。明治天皇と、政治の関係・・・ロナルド・キーンの「明治天皇」が詳しくて、分かりやすい。が、「君臨すれども統治せず・・・」が、殆ど「建前」であることが、良く描かれている。
桂太郎」・・・遅れてきた「元老」と言われるそうだが、西園寺と桂・・・これに山県が乗って、日清・日露を闘い、大正・昭和初期の軍事政権への道を準備したと、言えなくもない。しかし、その陰に、政党政治を嫌った伊藤博文が政党を結成し、桂も、自ら政党を作って捲土重来を志して挫折する。その間の、政党内、政党間の内紛、闘争は、昨今の、民主・自民・公明の暗闘を思わせるものがある。政治とは、かくなるものか・・・と、考える方が良識と言えるのだろう。私は、そう思う。
物事の進捗を望めば、populismに傾く。日露講和の結果に大騒ぎし「日比谷焼き討ち」も、愚衆の犯罪とも言える事件だが、愚衆であるが故に、罪人はでない。隠れた犯罪者であっても、政治は、この犯罪者を称え、彼らが望む方向に政策の矢を向ける。日清戦争後の「三国干渉」・・・mass mediaの力が弱かったから、日比谷の前例にはならなかったのであろうと、私は歴史を読んだ。
如何にしても「政権の椅子に座りたい」・・・この熱望が、われもわれも・・・と、強引政治家・強欲政治家・小沢一郎の・・・自らの妻子を制御することは叶わないでも・・・下に、軽率な政治家を集めた。藤井裕久、渡辺恒三など言う、言わば良識的な政治家までが、彼の詐術に捉えられたのである。無ベなるかなとも思うが、鳩山由紀夫菅直人の様な、populism以外には、何らの政治見識を持たない政治家までをも、加えることで、民主党は完全に「愚衆」化した政党になった。寧ろ、桂太郎後藤新平の様な野心は全く感じられない・・・愚にもつかない政党の誕生だったのである。
その兆候は、小泉制選挙の時の私の予想が正しかったことを、自慢したものだが、決して、小泉政権を、全面的に褒める心算はない。しかし、彼は、あるいは彼を取り巻くbrainは、今必要なこと、そしてその陰に生れる隘路は、次の政権が修正・加除すれば良い・・・との理念は明確であったと、私は、思う。つまり、政治とは、全くの真実は存在しないことを条件に行う人間の行為・思考なのである。全く正しい「政策」あり得ないのである。一瞬の思考・判断なのだから、そこに存在した人材、頭脳もまた、一瞬のものであろう。変転極まりない日々の中での判断・・・それが愚衆に任せられているのだが、愚衆とは、その自覚があって、瞬間瞬間に愚衆を自覚して、次の世代にバトンを渡す存在でもあるのだろう。
「党内紛争」・・・大いにやるべし!
しかし、己の欲を遂げんが為、己が、内なる軍資金を「かしら(頭)」にお仰ぎ、身も心も捧げれば、それは、強欲の権化でしかない。仰ぐ権現様の顔を良く観察すれば、そこには「かね」の二文字が見える筈なのだが、欲で曇った眼鏡には見えないものなのだろう。
そもそも、民主党発足時点で、何人の政治家が存在したのだろう。小沢一郎に、日々「忠」を叫んでいる、自称・政治家が殆ど役にたたないことは、その頭目小沢一郎が百も承知だったはず。故に、選挙に勝利した時、その配下に「自民党」との連立を指示したのに、これが災いして、代表の椅子を失った・・・そして、愚劣な配下連が、その反省のひとかけらもないのが、現状である。小沢一郎だけが、自民党の能力を知っていた、自民党の怖さを、強さを知っていた・・・贅沢しかしらない脆弱な「鳩山一郎」の脳が、殆ど政治的に役に立たないことは百も承知であったろう。菅直人に至っては、論外中の論外だった・・・彼に、往年のenergyがあれば、ここで民主党を解体していた筈・・・今回、解党の危機に見えても、彼の脳の中の、選択すべきprocessのひとつだったのではないか・・・いや、そうだろう。「俺のしたことを、野田君がやってくれている・・・」と、ほくそ笑んでいるのかも知れない。今は、次のstepに向けての人材の選択。仕分けをしていることであろう。
民主党は、良い人材を集めた・・・その顔ぶれに、私は思う。しかし、その古き世代の人材の強欲振りが、新しい人材を殺してしまった。つまり、新しい人材で、古い頭脳が革新されるとでも思っていたのだろうか・・・優秀な秘書を擁して可能だと・・・考えていたのだろうか。カチカチのミイラ化した古き時代の古い「脳」・・・そして、新しい時代感覚を備え、新しい手法に歯しがちな新しい「脳」、そして、そのenergy・・・そのちぐはぐさが、今日の混迷の原因なのだが、彼は十分理解しているのではないか・・・実は、それは、政治家が、政党を結成・運営して行く時の理想ではあっても、殆ど永遠の理想でしかないことが、理解できていない・・・私は思う。
その最大のものが、鳩山由紀夫菅直人・・・こんな人材が役に立つ筈がない・・・細川護煕で、小沢一郎は何を学んだのか・・・上手の手から「水」が漏れる。彼の頭脳の限界なのかも知れないし、余りにも高い理想の故かもしれない・・・・しかし、彼・小沢一郎が、楽しい伝記作家を待っているかも知れない。平成の「桂太郎」たる人物として・・・彼が、何故「宰相」になれなかったか・・・貴重な「他山の石」を、日本の政治史に残してくれるだろう・・・