インフレ&デフレ・・・

藤井裕久与謝野馨・・・財務大臣経験者のアベノミクス評価が、昨夜のBSフジTV・プライムニュースのmain themeだったのだが、プロ野球の開幕とあって、両方掛け持ちでチャンネルをあっちこっちさせていたので、十分には聞いていない。しかし、消費税、TPP参加については、両者の良識ある発言に納得することが出来た。特に、TPP構想が、大平内閣の時に、すでに、その構想が世界に発信され、そのれに基づく、色々な経済のsystemが生れていることを知った事は、私がこれから巡らす思考に大いに貢献してくれるだろう・・・と、確信した。

特に、TPPが、浜矩子教授の言う、経済ブロック化への警戒心を生むことも納得できた。藤井裕久氏は・・・そのことを十分に念頭に置いて、その参加交渉に臨むべきだと・・・述べ、もし、これが、ブロック化の方向に傾斜し、二つの前大戦前夜の兆候を見せるようなら、日本は、アメリカ、オーストリア等のグループに、その席を置くべきだと・・・指導的な立場を得んとして、弱小国家頭目になろうとする愚かな選択をしてはならない・・・との警告も発していた。

常に、「アメリカ一辺倒」を批判の常套句とする、日本の批判勢力の心すべきところだろう。未だに、維新以後、敗戦までの日本に、「一等国」の夢をまさぐる勢力のあることを、我々も警戒しなければならないと言う事だろう。

さて、インフレとデフレ・・・先ず経済政策に成功を求めるのは、池に映る「月」を求めるに等しい。経済とは、結論のない政策課題なのである。あたかも「夢」を実現できるが如くに、経済を論じる・・・こんな馬鹿げたことはない。そして、全てに満足の出来る「経済状態」等が、あろうはずがない。
この夜も、「小さな政府・・・つまり、福祉を縮小した政策」を求めれば、格差は拡大する。但し、我慢出来る格差の範囲に収めるのは、政治の姿勢ではあっても、最終的には、生活保障され、その努力が、時には報いられなくても、概ね、報いられる政治環境が生れること・・・与謝野馨の発言を、私は、この様に聞いた。どんなに大きな政府でもって福祉を満足(程度はある)させようと思えば、負担は重くなる・・・その負担に耐え得る国民が、手厚い福祉の条件でもある・・・北欧の国々の税などの負担が「60%」・・・これに甘んじて、その条件の中で、己の夢を叶える・・・その覚悟がなければ、インフレもデフレも・・・苦さ以外の何ものでもないだろう。

私世代は、インフレを体験し、そして、己の終末が見える年代で、土地の狂気の様な高騰に遭遇し、デフレに遭遇した。一つの、世代で、この国の経済は、アメリカの中心地の土地やビルを手に入れ、そして手放さざるを得ない経済に落ち込んだのである。こんな国も、近代以降は少なかろう・・・いや、唯一、我国だけだろう。

昨今の国民は、デフレしか知らない・・・私達のある時代が、インフレしか知らない様に・・・そして、そのインフレは、戦後復興・技術革新・経済伸長-拡大の光景に連続していた。今、アベノミクスの中に、若い証券マンが元気になり、藤井裕久与謝野馨の老勇が、警鐘を鳴らす所以でもある。
しかし、御両人が、高福祉の中で、生活保護の不正受給・・・ギャンブルに費やす行為も含めて・・・を批難する根拠も此処に在る。

1ドル=360円で始まった日本の戦後・・・当時から、250円が妥当だとの考えはあったのだと、何かで読んだ記憶はあるが・・・それよりも、ケインズが、ドルを基軸通貨にすることに異議を唱えたことの方が重要だろう。今、中国が、お粗末な経済政策で、軍事力を誇りながら「元」を基軸通貨にする野望に燃えているらしい。これも、池の水に映る「月」を欲しいというに等しい「愚かさ」だが、少なくとも、数億の国民が「愚衆」として存在(放置)している中国のみで可能な「邯鄲の夢」なのだろう。


先の人事案・・・野党の反対で、参議院を通過できなかった・・・安部総理も想定の範囲であろう。野党に「花」を持たせるとしたら、この辺りが妥当ではある。円を下げられる所まで下げ、株価を、上げられる所まで上げて・・・政権を放り出す。恐らく、野党は崩壊するだろう・・・もう、「デフレ」を政策として掲げることはできないだろうから・・・しかし、疑似デフレの政策は必要なのである。円を高騰させ、株価を安定させる為に・・・預貯金の価値を下げる所まで、インフレが進めば、その時は・・・と、私は思うのだが・・・その結果を目に出来ないだろうことが残念である。