狼少年・金正温・・・

彼自身が「狼少年」であるとは言い切れない。装う必要があると言う事であろう。何せ、年端もいかない青年なのだから・・・本来なら、もっと早くから「帝王教育」が行われて入るべきだったろうし、祖父、父親とは異なる世界の指導者足るべく育てられるべきだったのだろうが、結局、後継者レースの為に、新しい時代の、新しい北朝鮮国家のimageを醸成することもなく、「椅子」だけが与えられた。ある意味、権力の犠牲者でもあるのだろう。後の二人の兄弟が、如何に過しているのか、全く伝わって来ないが、政権を争っているのだとしたら、可愛そうな立場ではある。

韓流・時代劇ドラマの中で、権力争いの枠外に逃れて、安穏に生涯を終ろうとする人物がcastingされる・・・その後の経過はドラマのstoryに登場しないのだが、韓流ドラマの理念として、権力の場、あるいは、その近くに居て、権力から遠ざかるgesture、あるいは傍観している人物は、当人が望む、望まないに関わらず、何時かは権力闘争に巻き込まれ、無辜の命を奪われる・・・権力からの視線が届かない所に逃れなければならないのだが・・・中国共産党と言う宮廷も似た様なものだろうし、ロシア共産党の残滓としての権力争いも、まだまだ似た様なものだろう。フルシチョフの息子が、アルコール中毒のままに消えなければならなかった・・・他の権力者も、どれ程の親族を失ったのだろう・・・シェークスピア悲劇も、ギリシャ悲劇も・・・そして、その延長に、北朝鮮・王朝の悲劇が予想されているのではないか。

金正温の悲願・・・北朝鮮の国家としての延命よりも、「金・一族」の延命の為の昨今の動きなのだろう・・・権力争いに敗れても、「隠居」の座布団が待つ・・・この国のethosでは計り知ることは難しい。
恐らく、ミサイルの方向に狂いが生じて、沖縄・米軍基地、あるいは、日本本土の日米軍事基地、あるいはGuamに落下すれば、太平洋戦争で、アメリカが京都を残し、宮城を無傷に残した様な配慮は存在しないだろう。何故なら、北朝鮮は、中国を除いて、その存続を必要とはしないのだろうから・・・いきなり、平壌にミサイル、あるいは、低空滑空の戦略ミサイル・・・成層圏と大気圏の境を滑空して、殆ど数ミリ単位の精度で命中するらしい・・・が、ピンポイント攻略で狙うだろう。核爆弾程の威力は無いらしいが、政権を葬るには十分過ぎる威力である・・・と、言われる。


金正温・・・背後の、老軍人が、お互いを牽制しながら、自らは政権から離脱しない様に考える策略が、金正温に愚像化されている・・・この悲しい現実から、一人の青年の救済に、今、世界が苦悩している・・・父・金正日が、スイスに学ばせた結果が現在だとすれば、「教育とは・・・」という、地球規模の考察が必要になるのだろう・・・悲しい現実である。